タイヤ屋ダーハマの知っときタイヤ?

タイヤの世界をご紹介。

空気圧管理について


タイヤの空気圧、点検、補充は実施しておりますでしょうか?
タイヤにとって規定圧の維持は非常に大事です。
新品への交換時に規定圧入れればパンクしない限り大丈夫なんじゃないの?って思われがちなんですが、実は空気入りタイヤはパンクしなくても空気圧は徐々に下がっていきます。これは世界中のメーカーどのタイヤを使用しても、廉価版でも超高級タイヤでも地球上で空気入りタイヤを使用するならばこれは共通の事象です。
イベントなんかで配られてるゴム風船、当日は風船も元気で家に持って帰ってうっかり手を放して天井に張り付いてたりしますが数日もすれば風船のサイズも心なしかダウン。表面はハリが無くなり徐々に降下してきますよね?
これは風船の内圧が低下した為。ゴムが空気を透過したんですね。透過と聞いて近眼でコンタクトしてる方、酸素透過レンズってありますよね?
レンズに穴は開いてないけど酸素を通す素材です。レンズよりも酸素の方が分子レベルで小さいんですね。ゴムも同じ様に空気を通してしまいます。
ただタイヤの場合は出来れば空気を通したくないのでゴムはゴムでも空気を透過し難い素材を使用しております。専門的に言うとブチル系のゴムを使用しております。ブチルはトレッドゴムとは違い強度は小さいですが様々なシール材で使用され液体モノ、気体モノをシールします。
このブチル系のゴムはタイヤ業界では代表的なチューブの素材なんですね。身近ですと自転車のチューブ、あれがブチル系ゴムです。


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現在主流のチューブレスタイヤは文字通りチューブが入ってないタイヤなんですが、チューブの代わりにインナーライナーというブチル系ゴム部材をタイヤの内面に貼り付けております。それで空気を漏れにくくしてるんですね。


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そう「漏れにくく」です。漏れないワケではありません。自転車もしばらく使わないとタイヤ、ペッタンコになってません?あれが空気を透過させてる証拠なんですね。トラックのタイヤのように容積が大きく固いタイヤであれば多少漏れても気付き難いですが自転車のように容積が小さく柔らかいタイヤは見た目で低内圧だとわかります。
また、チューブレスの利点として異物を踏み抜いても一気に空気が抜けにくく(様々な条件によりますが)いきなり内圧がゼロになる事がない為ある程度は走れてスペアに交換またはパンク修理が可能なんですが・・これが諸刃の剣で走れてしまうが故にタイヤをダメにしてしまうケースもしばしば。
ある程度内圧があり、まだ空気によってタイヤが支えられてる場合はタイヤにダメージは少ないんですがタイヤが潰れる位内圧が下がってしまうと内部構造であるコード、人間でいうなら骨にあたる部分が疲労骨折みたいになったり先ほどのインナーライナーが擦れて粉になってる場合は修理が出来ません。


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こういう事態にならない為にも運行前点検や定期的なエア点検、補充が必要なんですね。
空気入りタイヤはタイヤに規定の空気圧ではじめて性能を発揮します。
もしこの世の中に空気入りタイヤが無く全てゴムの塊だったりすると運転中はドライバーさんが路面からの突き上げで空中浮遊したり熱いコーヒーを飲もうならばリアクション芸は必至。タイヤ自体も恐ろしく重く高燃費なクルマは航続距離が短くなるか、巨大な燃料タンクを装備しなくてはいけないんじゃないでしょうか。
パンクでないのに空気が徐々に漏れる「自然漏れ」。
先ほどコンタクトレンズで酸素透過と書きましたが空気の組成は約8割が、窒素、約2割が酸素なんですね。(厳密に言えば二酸化炭素を含め様々な成分が数パーセントあります)
で、この空気中の酸素がゴムを透過しますので酸素の入っていない気体、つまり窒素ガスを充填すれば自然漏れによる内圧低下を少しは遅らせる事は出来ます。


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また最近ではタイヤ内部(ホイール本体側)に空気圧センサーを取り付けデバイスによるドライバーさんやそれを管理してる会社がモニタリングできるシステムも構築しつつありますね。
多くはタイヤのセンサーが読み取ったデータをドライバーさんが運転席でモニタリングできるものが主流ですが、それを管理する会社、ユーザーさんがモニタリングでき、内圧低下など異常があればアラートメールがユーザーさんとタイヤ販売会社に来て情報を共有化するシステムもあります。
タイヤセンサー取り付けの背景は車両の低床化でのタイヤの偏平化で見た目では低内圧は分かり難くく、低内圧のまま走行、ダブルタイヤのシングル化でやはり低内圧のまま走行してのタイヤ破損の防止、自然漏れによる低内圧走行でのタイヤへの負荷、燃費、タイヤライフ、僅かづつ漏れるスローパンクチャーの早期発見にあるのではないかと考えます。
とはいえセンサー付は装備されてる車両は少なく、そこはやはりエアゲージにて月に一回程度、タイヤが冷えている時に定期的に点検するのが今の所一番有効な手段ではないでしょうか。


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空気入りタイヤにとって空気圧はまさに空気のような存在になっておりますが、人間関係同様にそこそこにケアが必要なんでございます。
家庭も運行も空気を読んでトラブルを未然に防ぎましょう~!